好きなお店が入っているのは知ってたけど、街中でいつも済ませられたし自分自身車を運転出来ないことからここまで来ることはなかった。

だけど准一さんにも行って見たい?と聞かれたので二つ返事で頷いたのだ。

私たちの後からもどんどん人は入ってくる。

思わず人の波に埋もれてしまいそうだ。


「わっ」

「すみません」


ドンッと前から来た人と肩がぶつかりよろけそうになる。

そっと横から伸びてきた腕が私の肩を掴み倒れずにすんだ。

ホッと上を見上げると准一さんが私の顔を見て笑みを零した。


「休日のせいか人凄い。俺も久しぶりだからビックリした。ほら」

「あ…ありがとう」


差し出された左手に一瞬躊躇ったが私もそっとそれに右手を重ねると、ぎゅっと握りこまれた。

うわぁ~…本当にデートっぽい。

あまりの嬉しさにきっと私の顔は破顔していただろう。

握られた手が暖かかった。