優しい准一さんの顔が一変して少しだけ険しいものへとが変わる。


「ほ、本当!なんにもないよ…」

「へぇー…?」


そう思ってるのはマキだけかもよ?と意地悪く耳元で囁く。


「准一さん、私のこと信じてないの?」

「……んーん。信じてる」


過保護すぎやしないだろうか。

私は唇を尖らして准一さんを見上げると、視線を逸らされた。

勝った…!


「まぁ、海行く予定が決まったら教えて」

「うん!ありがとう!」


お許しをもらえた、これで心置きなく海に遊びに行ける!

はしゃぐ私とは対照的に短くため息を吐いた准一さんがポツリと呟くのを私は聞き逃さなかった。


「買い物とかずっとしてないなー…」

「准一さん、忙しそうだもんね」


学園の理事長って大変な職業なんだろうなぁ、なんて考えていると、ふと私に視線を移した准一さん。


「……なーに?」

「夏休み中、一緒に買い物でも行こうか」

「え?!」


私は持っていたクッションを思わず放り投げて前のめりになる。