王冠学園の図書館は国立図書館ほどではないが多くの書籍が置かれているので一般開放もされている。

だが図書館は人気もなく委員でさえもカウンターにいるのは一人だけ。

テスト前だと言うのに、ほとんどの生徒がここを利用しないことを不思議に思った。


まぁ…静かだし、いいかな。

短く息を吐いて再び参考書探しを始めた。


私がなんで図書館に来ているかというと、それはあるラインが事の発端。

そう、准一さん。

昼休みにいきなりラインをしてきたかと思えば、その内容は

"図書館でテストに必要な参考書を借りておいで"

というものだった。

本当にテストに必要な参考書なんてあるのかな?

そんな指示があるってことは今日から早速テスト勉強を教えてもらえるということだよね?

それならちゃんと借りて行かなくてはならない。


本棚に頭をつけてどうしようかな…と一人悩んでいるその瞬間。

口元に覆いかぶさった何かと腰に巻きついた何か。

思いっきり叫び声を上げようとした途端…「しっ」と小さな声が耳元を掠めた。



え?え?何…誰なの…?

もしかして誘拐?!