白に染まる、一滴の青。


「先輩」

「なに?」

「この絵を、どうしてもコンクールに出したいです。先輩がいいって言ってくれるなら……僕にとって唯一のこの絵を、たくさんの人に見てほしいし、どう評価されるのかが知りたいんです」

慧はぎゅっ、と拳を握りしめた。

コンクールが全てじゃない。それは分かっている。本多の言ったように、“唯一”の絵を完成させることが出来た。それだけで十分なことであるとも分かっていたけれど、慧は楓にもらったこの青春を、誰かに認めて欲しかった。


「うん、いいよ」

「え?」

流石に断られるかもしれない。そう思っていた慧に対して向けられた返答は意外なものだった。

「慧くんがしたいようにしてくれればいいよ。私は、慧くんが決めたことならそれがいいと思うし、そんな風に言ってもらえるくらい慧くんの役に立てたことが嬉しい」

入賞するといいね、と言って思い切り口角を上げた楓。慧は、驚きから言葉を詰まらせると返事の代わりに口角をきゅっと上げて笑った。