「たー子、先行ってて。自販機でなんか飲みもん買ってくる。」

「分かった。先行ってる。」


校門横の自販機前で暫し考え、スポーツ飲料を二つ買った。

きっと遅刻のペナルティーで地獄の野外素振りが待っているはず。
そうなると一本じゃたりないもんね。


今しがた出てきたばかりのペットボトルを両手に持ち、小走りでたー子を追う。


が、私は直ぐに立ち止まった。


校門から校舎までの100mもない道に点々とベンチが置いてあるのだが、その一つに全身黒ずくめの男が項垂れているではないか。


かなり怪しい…

なんか、色々ヤバイ感じもする…


顔は見えないけど、制服も来てないし、体から醸し出したる雰囲気も学生って歳じゃないよね…

でも、さっきあった佐竹さんの例もあるしな…

にしても、構内に怪しい人がいるってヤバくない?

あっ、でもたまたま通りかかった時に、この暑さで気分が悪くなっちゃって休んでるだけとか?

考えすぎかな?

ん~


普段はしないのだが…

「あの~大丈夫ですか?」

声を掛けると、その男の人はピクリと反応はしたけれど、顔を上げる様子はない。