黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

「どうして……何のために?」


眉を寄せて悲しげな顔でそう言うサーバルは、まるで子供のようで……そして、『生れながらの病気で病床に臥せっていた』ということも、健にそっくりだ。

彼の手をギュッと握り締め、安心させてあげたい……

でも、今の私はパンターのプリンセスで。

『姉』としての衝動を抑える。



レオパードは、落ち着いた口調でゆっくりとサーバルに話した。


「それは、アルビンの保有する国宝……青い宝玉。ヴォルブは同盟を結んでいることで御国を油断させ……しかしながら、その同盟を破棄して御国を滅ぼし、宝玉を手に入れんとしているのです。三種の宝玉を揃えて、この世界を支配するために」

「そんな……」

「それに、最近。つい最近のことですが、ヴォルブの支配者が替わったという噂も耳にしました。そしてその新しい支配者は、傲慢で容赦がない。だから……もう幾ばくもないうちに、御国に攻め込んできます」


レオパードがそこまで話すと、サーバルの顔面は蒼白となってガタガタと震え出した。

彼の体調の悪さは尋常じゃない様子で。

それを確認した瞬間に、私の顔からもサァッと血の気が引いて……

思わず立ち上がった。


「たける!」


私は、世界で只一人の弟にしか見えない彼……サーバルを抱き締めた。

その部屋の者は……レオパードも、相当に驚いた顔をしていた。


だけれども、私はぎゅっと彼を抱き締めて……

健と同じ温もりを、自らの肌に感じて。

彼の震えが収まるまで、彼の背をさすり続けた。