黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

「我が国、アルビンはヴォルブと同盟を結んでいたはずです。互いの国は、永久に不可侵であると……その同盟は決して破られることはないはずですが」


サーバルは動揺しながらも、つとめて落ち着いて話しているようだった。

その場面を切り取っても、つい彼と健を重ねて見てしまう私には大変な違和感があって。

小学低学年だった健が急に成長した感覚に陥って……不思議なような、感慨深いような、実に奇妙な気持ちになったのだった。


そんなサーバルに、レオパードが穏やかでありながらも緊張感を含んだ声で説明した。


「それが、ウルフは獰猛で、相手と同盟を結んでいようが、親兄弟であろうが、関係がない……奴らは自らの邪魔をする者は皆、抹殺します。サーバルプリンスのお父様は、そのことを御理解の上、ウルフとその場しのぎの同盟を結ばれたのです」

「そんな……どうして?」


悲壮な面持ちのサーバル……私は彼に少し、違和感を覚えた。

何故って、彼は私と同じくらいに何も知らない。

この国のプリンスのはずなのに、どうしてだろう……?




するとレオパードは、サーバルを見てふぅっと溜息をついた。


「やはり……あなたのお父様は、あなたが病床に臥している間に、全て決めてしまわれたのですね。あなたが生れながらの病と闘っている間……ヴォルブはアルビンを武力で威嚇し、同盟を強要したのです。締結さえすれば、国を滅ぼすことはない……そのことを条件に」