黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

程なくして、ドアを優しくノックする音が響いた。


「失礼いたします」


客間のドアを開けて、若い王子が入って来た。


「お……お邪魔してます!」


そんな挨拶は少し違うかも知れないけれど、テンパった私の口から思わず出てしまった。

そして顔を上げて、美しく気品漂う彼を見た途端……私は思わず、椅子から立ち上がって口を手で覆った。


「健……」


そう。

アルビンの王子は私の弟、健……彼と瓜二つだったのだ。


「はい? たける?」


私の口から出た言葉に、彼はまるで鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。


「いえ……何でもないです」


私は我に返り、椅子に着いた。

胸がドキドキと高鳴る。

だって、ここは元々私がいた世界ではなく、異世界……健がいるはずがない。

だけれども。

前世の私……うららプリンセスの従弟だという彼、サーバルは、改めて見てもやはり、私の知る幼い健が成長した姿、そのものだった。



そんな私の動揺を知ってか知らずか、サーバルはレオパードと話し合いを始めた。


「レオパードプリンス。今日はうららと共に、どのようなご用件で?」

「はい。実はヴォルブでウルフ達が不穏な兆しを見せており……こちらが調査したところによると、御国に攻め込む手筈を整えているということです」

「何ですって!?」


サーバルは驚き、目を見開いた。