どうして自分が、こんなに訳の分からない人に身を委ねるのか……自分でも分からなかった。

けれども、私の中で眠っていた何かが目覚めて。

冷んやりとした彼の手の感触がとても懐かしく、心地よくて。

私の体は勝手に、彼に引っ張られるがままに、扉の向こう……まるで異空間との境界のように、虹色の斑ら模様に輝くその世界への門をくぐったのだった。



その瞬間……

(何、ここ?)

私と、その手を引く彼の周囲の空間はがらりと変わって。

私達は見渡す限り、斑らに輝く光の空間に包まれた。


しかし、私の手を引く彼は、迷わずに真っ直ぐ、その世界……暗くも美しいパンターに向かっていた。

そして、私達が虹色に輝く空間を抜けた瞬間……私は突如、気を失ったのだった。