「そんな……」


私は自らの前世のあまりの凄惨さに頭が真っ白、放心状態となった。

でも、考えてみると……

私はあの幼い頃、汚い男達に汚されて強いトラウマを受けた瞬間に記憶を失った。

それがもし、自身の中の獰猛な白豹の発現の瞬間だったとしたら、男達は私が殺した……


「嫌……」


私は小刻みに震え出した。


「私はそんな……冷酷で恐ろしい白豹のプリンセスだっただなんて……」


考えただけで嫌で恐ろしくて……震えが止まらなかった。

しかし、レオパードは手のひらで私の手を優しく包み込んでくれて。

真っ直ぐに私に目を向けた。


「白豹のプリンセスは……うららは、冷酷で恐ろしくなんかない!」

「えっ……」


私はレオパードを見た。

すると彼は赤くて熱い想いを全身にたぎらせていた。


「うららは優しくて純粋で……だから繊細すぎるだけだ。だから、うららのことは、この黒豹のプリンス……レオパードが必ず守る!」


(トクン……)


彼の熱い想いを聞いた私の鼓動は鳴った。

それは何処か、懐かしい感覚で……遥か遠い昔、自分の中で同じ音を聞いたことがあるような気がした。

それはきっと……白豹のうららプリンセスの鼓動。