「うららプリンセス……!」


アルビン国内の異変に気付き、パンターのレオパード達が加勢のため、城内にたどり着いた時。

うららは、かの側近の悲鳴を聞きつけてその部屋に入ったウルフの血族全てを凄まじいほどの力をもって抹消した後だった。

その部屋一面は血の海となっており……

うららは血の海の中で冷酷な笑みを浮かべていた。



黒豹や白豹、ウルフの能力は血族の者であれば潜在的には保有するが、その発現のきっかけは様々だ。

ある年齢に達すると突如発現する場合もあるが、病気による高熱を経て発現する場合、さらには能力の発現のために特殊な修行を必要とする場合もある。

そして、白豹のプリンセス……

うららの場合は、心理的外傷。

心の傷によってその能力を発現し、それが深ければ深いほどに、多ければ多いほどに圧倒的な破壊力を発揮する。

そんな、彼女にとっては非常に哀しく……不幸な能力であったのだ。