うららの肉親が処刑されたアルビンでは、ヴォルブと繋がりのある遠戚が実権を握ることとなった。

うららは肉親を失ったショックで部屋に閉じこもり、放心状態となっていた。

しかし、アルビンの新国王は、ヴォルブとの繋がりをさらに深めるために、うららをヴォルブに引き渡すことを快諾したのだった。


うららがヴォルブに引き渡される、その日になった。


「おい、うららプリンセス。さっさと来い」


ヴォルブ国王の側近の一人が荒々しくうららの手を引いた。

うららは力なく、ただ引かれるがままに虚ろな瞳をして歩いていた。


「全く、おっそろしい女だぜ。自分の国を滅ぼすなんてよ」


うららはその言葉に反応し……虚ろな瞳をその側近に向けた。

すると側近は口元を歪め、いやらしい目付きでうららを見た。


「白豹のプリンセス、噂には聞いていたが、これほど美しかったとはな。その容姿でうちの国王を惑わした挙句、自分のすら滅ぼした。どうだい、今の気分は? 自分の美しさに酔い痴れてるんじゃないのか?」


ヴォルブの側近の挑発に、うららの瞳は青く輝き……全身から青白い光が発し始めた。

しかし、側近はそんな変化には気付かず……うららの顎を右手でクイと持ち上げて、なおも挑発した。