黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

その冷酷な血走った眼差しは、私達を憎らしげに睨み、チッと舌打ちした。


「畜生……。やっぱり、パンターのプリンスを一発で仕留めるのは無理か……」


「お前は……ヴォルブのフェニックだな」


レオパードは赤い光を放ちながら、激しく闘気を燃やす。

そんな彼に、そいつはにやりと笑った。


「あぁ、そうさ。俺こそはウルフの国、ヴォルブの四天王の一人。フェニックだ」


(四天王……?)


私は状況についていけず……だけれども、どういうわけか、その言葉とフェニックという男が結びつく気がした。


「ジョンとエマ……あの幼い二人の子供達の母親を殺したのも、お前なのか?」


レオパードは両手をギュッと握りしめ、声を震わせた。


「さぁな。殺しなんて、一々覚えてもいない。子供はヴォルブの奴隷として連れて行く。その他のゴミは騒ぎ立てる前に始末する。それだけだ」


フェニックは邪悪なその目を横に細めて鋭い牙を見せた。

すると途端にレオパードの黒い髪は逆立ち……全身から発せられる赤い光は、最大限にその威力を増した。


「これ以上、このパンターでお前らの好きにはさせん!」


彼は両手をフェニックにかざした。

その瞬間……赤い光の球が、凄まじいほどの大きさと威力をもってレオパードの両手から放たれた。