黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

「これは、ウルフの血族の者のやり口です。彼らはパンターの子供をさらってヴォルブで奴隷として一生、こき使う。そして、子供以外……大人にその姿を見られると、八裂きにして殺すんだ」

「じゃあ、このお母さんは……」

「きっと、ジョンとエマをさらいに来たウルフの血族が、その姿を見られたので殺したんだ。だから、ジョンとエマにとっては……お母さんのためにフルーツを探しに出たことが、結果的には自分達が助かることになったんだ」

「そんな……ひどい。ひどすぎる……」


両手で顔を押さえて嗚咽を漏らし始めた私の肩を、レオパードはそっと抱き寄せた。


「ジョンとエマは……私達の城で育てよう。これも、何かの縁だ」

「ええ……そうね」


レオパードはお母さんを、町に隣接する森に埋めてお墓を作ってあげた。

八裂きのようにひどい状態になっていた、そのお母さんを見るのがツラくて目を背けたかったけれど……

だけれども、この国のプリンセスとして、この現実から目を背けてはならない。

そんな気がして、私は彼とともに、彼女の姿を最後まで見て、しっかりと埋葬した。


そして私達は、ペガサス車でぐったりと眠っているジョンとエマを連れてお城に戻った。


その日は私自身も、体力的にも精神的にも、すっかりと疲れてしまっていて。

お城のプリンセス部屋に帰るや否や、すぐに意識を失うように、フカフカのベッドの上で眠りについた。