黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

幼いその兄妹は声を上げてわんわん泣いた。

ひとしきり泣いて……泣き疲れてもう涙も出なくなったジョンとエマを、ペガサス車の御者に託して。

私達は彼らの家の中の状況を確かめた。


「ひどい。一体、誰がこんな……」


あまりの事態に凍りつく私の脳裏を『オオカミ』という言葉がかすめた。


「まさか、オオカミ……」

「そう。でも恐らく、ただのオオカミではない」


レオパードはそっと目を閉じた。


「きっと……ウルフの血族の者」

「ウルフの……?」

「そう」


レオパードは難しい顔をして頷いた。