黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

ジョンが立ち止まり指さしたのは、赤レンガ造りのこじんまりとした家だった。


「ここが、僕達の家だよ」


ジョンに案内されたその場所は、人気のなく寂しい町の片隅で。

だけれども、ドアをたたくジョンの声は弾んでいた。


「お母さん、ただいま!」


しかし……ドアを開けた瞬間。

ジョンの顔は凍りついた。


「お母さん? お母さん、お母さん!」

「ジョン、どうした……」


家に入った瞬間。

その惨状を見た私の顔からも、サァッと血の気が引いた。

ジョンとエマのお母さんという女性は、血だらけ……八つ裂きにされたような状態で絶命していたのだ。


「嫌だ、お母さん。目を開けてよぉ!」


ジョンは必死で泣き叫んで……


「エマ……見るべきではない」


レオパードは、幼すぎて状況を掴めていないエマをそっと家の外に出した。