黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

「あら……子供?」


小さい人影の正体は、兄妹だろうか……幼い男の子と女の子だった。

女の子は男の子の後ろに隠れていて。

男の子は棒っきれを持って、震えながら私に向かってそれを構えていた。


「そんなに怖がらないで。私、あなた達に悪いことをしたりしないから」


私がそっと話すと、男の子はまだ震えながらも、恐る恐る棒を下ろした。


「こら、うらら。国民に関わってはいけない……」

「レオパード。どうして子供達はこんなに怖がっているの?」

「それは……」


レオパードは口ごもった。


「パンターを国民誰もが安心して暮らせる国にすることが私達王族の役目……そうじゃない?」


私がそう言うと、レオパードは目を閉じて溜息を吐いて……フッと苦笑いをした。


「その通りですね。やはり、うららは転生する前と変わっていない……ただし、少しでも危険を感じたらすぐにお城へ引き返しますよ」

「ええ」


私は頷いた。

正直、王族の役目とかそんなこと、考えているわけではなかった。

ただ、自分が盾になってまで妹を守ろうとしているその男の子の姿……

それに、健を守るために体を売った私の姿が重なって。

どうしても、放っておくことができなかったのだ。