黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

だって、出会ってからまだ間もない私にも分かる。

このレオパードは優しくて温かくて一緒にいると安心できて。

政略結婚なんて嫌がっていた私もきっと、一緒に暮らすうちに彼のことが好きになっていたんだ。


「そして、今はまだ、比較的平穏な日常が保たれてはいるのですが……これからまた、いつウルフの者が侵攻してきてもおかしくはない状況でもあるのです」

「そう……あ、そうだ!」


私は一つ、気になっていたことがあった。


「この城の外……パンターの国土はどうなっているの?

「国土、にございますか?」

「ええ。この国のプリンセスとしての地位にいるのなら、この国のことを知っておきたいわ。今日はぐるりとでも、この国の中を巡ってみたい」


言いながら、私はワクワクしていた。

こうなればもう、今のこの状況を受け入れるかないんだし、異世界で自分の知らないことを知るのは楽しみだった。

このお城も華やかで魅力的な空間ではあるけれど、やっぱり外の世界が見てみたい!

すると、レオパードは少し心配そうな笑顔を見せた。


「それは勿論、構いませんが……今度は行方不明になったりしないで下さいね」

「え、前世では私、外を見ている時に行方不明になったの?」


レオパードは苦笑いしながらうなずいた。