黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

「私は……何者なの?」


オルビが入れてくれた紅茶をすすり落ち着いた私は、まずは一番不安に感じていることを尋ねた。

だって、さっきの……あれは、尋常じゃない。

記憶が抜け落ちていたことで、ようやく私は自分を保てていたんだ。


「先程申した通り、あなたは白豹の血族。それも、かなり強い潜在能力を秘めておられるのですが、以前、こちらにいた時からその力を制御できずにおられました」

「そう……」


もう、「ワケが分からない」なんて言えなかった。

だって……私は実際に、その能力とやらを思い出してしまったから。


「それで、その白豹の国の者が、どうしてパンターに嫁ぐことになったの?」