黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

「お口に合いましたか、プリンセス?」


レオパードは無邪気な顔で微笑みかけた。


「えぇ、美味しかったわ。とても……」


こんなにフルーツを食べたのは、いつぶりだろう?

そう思うと同時に、私の中には様々な想いが流れ込んだ。

健が入院してから……私は健のためだけに働いてきた。

自分なんてどうなってもいいから、健の元気な顔が見たい。

こんなに美味しいフルーツを……健にも食べさせてやりたい……


そんな想いが胸に込み上げて……私の瞳には、熱いものが湧き上がった。


「プリンセス……どうされました?」


湧き上がるものを堪え切れない私に、レオパードは心配そうな顔をした。


「いえ……大丈夫。ただ、朝食が美味しくて。あまりにも、美味しくて……」


その言葉を皮切りに、私の目からは堰を切ったように涙が流れ出した。

それは、自分の目はこんなにも涙を蓄えていたのかと、自分でも驚くほどで。

だがしかし、それはこの世界に来た不安からではなくて。

どういうわけか、この人……レオパードのもとでは、私は思う存分に涙を流せる。

私の中……心の奥底では、そのことを理解していて。

だからこそ、憚ることなく流すことのできる涙だったのだ。