「あら、プリンセス様。お早いお目覚めで」


一瞬、今の状況が分からず……その声が誰のものかを理解するのに、時間がかかった。


(そうか、オルビ……)


その声はパンターの王宮で私に仕える使用人のオルビ……

私はどういうワケか、黒豹の国のプリンスというレオパードによく分からない場所に連れて来られていたんだ。

今のこの状況こそ、夢のようなものだったのだけど……


「こんなワケの分からない状況でも、あの夢は普通に見るんだ」


私はそっと呟いて、自嘲ぎみに苦笑いした。


「プリンセス、どうされましたか?」


オルビはそんな私を見て首を傾げ、不思議そうな顔をした。