黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

「それで……それで、ジョンとエマは!?」

私達の子供……あの二人はどうなってしまったのか。

私は心配で仕方がなかった。

すると、奈美は顎でコヨテに合図をして。

コヨテが私達の前に出したのは……縄で捕縛され、口を塞がれたジョンとエマだったのだ。


「ジョン! エマ!!」


想いを抑え切れなくて……必死に叫ぶと、二人はその声に反応してこちらを向いた。

エマは顔中を涙で濡らしていて……ジョンは口をもぐもぐさせて。

私には分かった……二人とも、「ごめんなさい」って言おうとしてるって。


だけれども……私は安堵のあまり脱力し、膝を折って座り込んだ。


「良かった……ジョンとエマ。無事で……生きていてくれて。本当に、良かった……」


奈美はそんな私を見て、チッと舌を鳴らした。


「だから嫌なのよ、あんた。根っからの偽善者で……吐き気がする」


「奈美……本当に、どうして? 何で、そんなに変わってしまったの?」


分からなかった。

私の知っている奈美は、優しくて思い遣りがあって、いつも一人だった私を温かく受け入れてくれて。

今、目の前にいる彼女とは、まるで別物だったのだ。

しかし、彼女は眉を寄せ、口元を歪めて嫌な笑みを浮かべた。


「はぁ? 変わった? 私は前からこうよ。そう……元の世界であんたと一緒の高校に通ってた時からずっと」