黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス

ヴォルブのリオン城にたどり着いた。

私達の思惑通り、そこにはほとんど勢力はなかった。

雑兵達こそいたけれど、プリンスもプリンセスも四天王もおらずで。


「早く、早く……!」


パンターに残してきたジョンとエマのことが気になる私は、気が急いていて……黒豹軍はそんな私の想いを汲み取ってくれているかのように、落ち着きつつも迅速にウルフ達を倒して進んで行った。


「よし……!」


意志のバラバラなウルフ軍なんて、私達の軍の敵ではない。

兵士達の活躍により、城への道は十分に開けて。

私とレオパードはリオン城に侵入することができた。


「うらら。気をつけるのですよ。どこに罠が仕掛けられているか、分からないですから」

「ええ……」


私もレオパードも、最大限に神経を研ぎ澄ませて城の中……黄色い宝玉を探し歩いた。


今朝、アルビンのサーバルにも使いを出して、事情を伝えるとともに、このヴォルブへ青い宝玉を持って来るように依頼した。

そして、赤い宝玉は肌身離さず、私のネックレスにつけて来たのだ。

それはずっと、この首元で最大の光を放っている。


三つの宝玉が揃えば、きっとどうにかなる……

この切迫した状況の中、私達は一か八かの賭けに出たのだ。