黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス





浮かれまくったナミプリンセスの従えるウルフの軍勢が、パンターへの道をどんどん突き進んでいた時。

私とレオパードは大急ぎで、ペガサス車でヴォルブへと向かっていた。


だけれども……やっぱり不安が胸をよぎって、私は思わず後ろを振り向いた。


「気に……なりますか?」


彼の心配そうな横顔……それに私は、無理矢理に笑顔を作って答えた。


「いいえ、きっと大丈夫。だって、『私達の子供』なんだから。
それより……あの子達が敵を食い止めてくれているうちに、早く、ヴォルブへ! 急がないと……!」


口から出たその言葉を自身に言い聞かせる。

あの子達は命を懸けて戦っている。だから、私がしっかりしなければ……!



そう……ジョンとエマが『最後の四天王』だと知ってから、私達は最大の賭けに出た。

私達が囚われているということを敢えてウルフ達に報せてパンターへ侵攻させる。

四天王のジョンとエマはお城に残って、ウルフを足止めする。

そして……その隙に私達がヴォルブを落とす。


だけれども……


(奈美……まさか、あなただっただなんて)


私の胸には遣り切れない想いが流れ込んだ。


ジョンは全て明かしてくれた。

自分とエマが最後の四天王だということも、私達を捕縛してウルフに差し出す手筈だったということも。

そして……小さな水晶玉を私達に見せて、ヴォルブの様子を教えてくれたのだ。