しかし……

暫くして、コヨテと奈美は違和感を覚えた。

「ちょっと。何、この部屋? 人の気配、全くしないんだけど?」


ジョンとエマに付いて歩く奈美は、怪訝そうに眉をひそめた。

プリンセスとプリンスを捕縛したはずのその場所には、誰一人いなかったのだ。


「おい、ジョン。これは、どういうことなんだ?」


コヨテも不審そうな声を出した瞬間……ジョンはエマの手をギュッと握って振り返った。

二人の全身からは、黄色い光が煌々と発せられていた。


「レオパードとうららは……お前達なんかに殺させない」

「はぁ?」


奈美は眉をしかめた。


「どうしたんだ、ジョン? 気が触れたにしても、冗談がすぎるぞ。そんなことを言って、お前達、無事で済むと思っているのか?」


コヨテも本気のジョンの言葉を全く相手にしない。


しかし……


「バリア!」


ジョンがその言葉を叫んだ途端……その部屋の壁は、黄色い結界で覆われた。


「お前達、何を……ギャアア!」


コヨテと奈美が黄色い結界に触れようとした途端、その手にはまるで高圧電流のような衝撃が走った。

黄色い光を放つジョンは、エマの手をしっかりと握りながら、ゆっくりと話し始めた。


「レオパードとうららは……ウルフとは違う。とっても温かくて、優しくて……僕とエマを本当の子供だと言ってくれた。こんな僕達を……」