「だって、遊ぶ金欲しさに援交とかウリやってるって、もっぱらの評判だよ。見た目は可愛くて綺麗だけど、すっごい性悪だってさ。見てても分かるでしょ? いつも一人だし」


すると、彼は怪訝そうに寄せた眉をさらにひそめた。


「何だよ、それ? じゃあどうして、君はそんな奴と仲良くやってるんだ?」

「そ、それは……やっぱ、いっつも一人だったら可哀想かなって。仏心よ」

「ふーん……」


彼は訝しげな目を細めて奈美を見た。


「何だか、がっかりだ。まさか、君が本人のいない所でその人の悪口を言うような女だったとはな」

「いや、そんな……。だって、悪いのは全部、あのコで……」

奈美の顔からはサァッと血の気が引いてゆく。

しかし……

「言い訳なんて、聞きたくない。もう、僕と関わらないでくれ」


彼は蔑んだ目で奈美を見て立ち去った。


(そんな……どうして? 私、ずっとあなただけを見ていたのに……)


そんな想いが奈美の中で反芻した。


(どうして、誰も彼も麗なのよ!)


麗と出会う前は、自分が一番美しく可愛い……いつもそう言われていた。

だから、自分のルックスには誰よりも一番プライドと自信を持っていた。

それなのに……麗と出会い、麗が自分の近くにいる限り、誰もの視線は彼女の方へ向かうのだ。