こんな時に、この子達に何て言って上げたらいいのか分からない。

でも……


「はい、お兄ちゃん。絶対に、大事にするのよ」

「ああ……」


以前よりちょっぴりしっかり者になったエマと、相変わらずなジョンとのやりとりは、何だか微笑ましくもあった。


そして……

「うららプリンセス! お花摘みに連れて行って……」

すっかり立ち直った様子のエマが私のスカートの端を引っ張ってきて。


私は、そんな無邪気なエマと共にお花を摘みに行ったのだった。



「プリンセス! ほら、お花のかんむり!」

「うん、ありがとう。
……ねぇ、エマちゃん」

「なぁに?」


太陽に照らされたエマの純真無垢な笑顔が眩しくて……私は少し俯いてしまった。


「ううん。その……つらくなったり、悲しくなったらいつでも私達に言ってね」

「えっ?」

「だって、あなたとジョンは、私達の……」


その言葉の先を言おうとして、口ごもる。

『子供なんだから』って言うのは、やっぱり気恥ずかしかった。

するとエマは、にっこりと無垢な笑顔を向けてくれた。


「うん! ありがとう、うららプリンセス」


若干、三歳程度のエマに助けられる自分自身に苦笑いして……私は彼女とお花摘みを続けた。



だけれども……


私の中で、ふと一つの疑問が湧いた。


ジョンが落とした……お母さんの形見だという、あの黄色い石。

それが放つ黄色い光。

私は戦乱の途中で、幾度も見た。


それは、ウルフの血族が放っていた光。

でも、まさか……

私は疑念を振り払う。

この子達のお母さんの形見……それが、ウルフと関わりなんて、あるわけがない。

考えすぎな自分自身に、私はまたも苦笑いしたのだった。