芥川も負けた



「ごめんね、鳴山君。戦えなくなっちゃった」



「ああ、お前も負けちまったのか」



にこにこしているが何となく泣きそうになっていた



「負けちゃった、強いよ尾崎君は。気をつけてね」



鳴山はびっくりした



この年頃のやつはみんなまず言い訳をするかと思ったからだ



自分もしてしまいそうな言い訳を全くせず相手を称え勝ったものを応援する



その何気ない言葉に鳴山は芥川の真の強さを感じた



「僕トイレ行ってくるね」



芥川が部屋を出ようとするのを鳴山が止めた



振り返った芥川の目には涙が溜まっていた



「タイマンの試合は次に持ち越しだからな」



「うん、分かった」



芥川は部屋を出た



「強いよ、…お前」



鳴山はドアに向かってつぶやいた