放課後ー…



教室に誰もいなくなった頃、一人で出された数学の問題を解き始める。


「…うぅ」


一問目から、苦戦。


右手に握るシャープペンが、クルクル回り始める。



何なのこの公式…てか、全く意味がわからないんだけど。


こんなことなら、光太郎に付き合ってもらえば良かった。


「はぁー」


溜め息をつき、シャープペンを机の上に無造作に置いた。



…今日は、陸上部やってないんだね。


ついクセで、窓の外のグラウンドを見てしまう。



「お兄ちゃん、もう帰ったのかな…」


ぽつりと出た一人言。


しかしー…



「お前のせいで帰れねーよ」

「!」


まさかの返事が返ってきた。



え…嘘…何でー…




窓に向けていた顔を、逆側の教室の扉に向けた。



「お兄ちゃん!!??」


驚きのあまり椅子から立ち上がり、大きな声が出てしまった。