ソファの前まで来ると、持っていたコップをテーブルの上に置き、お兄ちゃんの目線と同じ高さになるようにしゃがんだ。


目の前まで来ると聞こえてくる、お兄ちゃんの寝息。

スースーと寝息を立て、寝辛そうな見た目とは違って気持ち良さそうに寝ている。

「…ほんと、綺麗な顔…」

寝顔だけでも、綺麗な顔立ちだというのがわかる。


長いまつ毛に、切れ長な目。
鼻筋が通った、鼻。

肌も男の人なのに、キメが細かく綺麗。

顔の上から順番に、お兄ちゃんの顔を見ていく。

そして、整った唇ー…


「…」


ドクン。


唇まで視線を落とすと、そこで止まった。


ドクン。
ドクン。



…この唇で、何人の人…ううん、何十人の女の子とキスしたんだろうか?