対する王子様は執務を為さる時に使用していると思われる席へ腰を下ろすと、私の方へ話をふった。

「始めに自己紹介をしておこう。俺はこの国の第二王子アルヴァン・イズ・ニール・プライド・チェ・ガルゴだ」

名前が長いのは王族である証。

第二王子と言うことは王様と違い、まだ王の座が確定している訳ではないと言うこと。

つまり、勢力争いに関してもピリピリしている時期と見たほうがいいのかもしれない。

そんな時期にアンディード帝国へ来ていたというのがやはり気になる点ではあるが…………

今は王子様を前にしているので深く考えるのをやめよう。

「先程は大変失礼致しました。私(わたくし)はアニ・テリジェフと申します」

「テリジェフやな?よし、覚えたで!」

王子様と言うともう少し硬くそして威厳のあるイメージがあったのだが、この王子様はなんて言うか…………………


無邪気な子供みたい。

ニコッと笑うところとか親しげがあって、王子様にはとても見えない。

「なんや、どうした?」

「いえ……」

今思っていた事は口が裂けても言えないけれどね。

言って死刑になっても困るから…………。