……そう言えば余の妃として正式な儀式をまだ行っていなかったな。

妃としての任命書は送ったが、やはり正式な婚儀は行った方が良いだろう。

それに……余は正妃として迎え王妃の座についてもらいたいと考えているがゆえ、そうなると儀式は必要だ。

「そなたは王妃になるつもりはあるか?」

「……今何と…」

「考えたのだがそなたを娶るとき正式な儀式をしていなかった。それは色々と問題が重なり後回しになっていたに過ぎなかったのだが、余はそなたを側妃ではなく正妃として側に置くつもりだ」

急に余がそのような事を言ったものだから、アニーナはかなり驚いた表情をしている。

「………いけません。それはいけません陛下!」

「なぜそう思う?」

普通の女であればここで嫌がったりはせぬが、やはりアニーナは簡単にはゆくまい。

「…恐れながら申し上げますが私は元は陛下に仕える使用人でございます。それも…一般の。貴族でもなんでもございません。側妃ならともかく、そのような私が正妃……それも王妃など身分違いもいいところです」