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「陛下様のお好きな物は何ですの?」
「どのような方が好みでいらっしゃるのですか?」
「ご趣味は?」
国王との挨拶を済ませた後に集まってきたのは王族の女達で、甘ったるい口調で余に話しかけてくる。
皆胸元の開いたドレスで余に迫り自らをアピールする姿はなんとも見苦しい。
こういった女の本来の目的は分かっている。余ではなく権力ある立ち位置がただほしいだけなのだ。
「……すまないが他に用事がある為そこを通してはくれぬか」
「え~!何か一つでも教えてくれませんか!?」
周りにいる女共は余の前から退くつもりはなさそうだ。
妃の前で強く言うのは…と少し気が引けてはいたが、
「どこに行ったのだ……」
気が付けば側から離れてしまっていた。
この光景を見て離れていったのだろうか何なのかは知らないが、無性にイライラする。
「ねぇ、陛下様~……ひっ!!!」
「余だと分かってそのような態度をしているのだろうな」
「い、いえ……その…」
少し声を低くしただけで目の前の女共は急に顔色を変えた。
「退け」
「は………はい!!すいませんでした」
睨みをきかせると集まっていた女共は一本の道を作った。
「全くつまらぬ女共だ。それより妃はどこだ?」
広い会場を端から端まで見渡すと、そこまで離れていないテーブルの前に妃は一人立っていた。
ただし………周りの視線を浴びつつ。



