暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



私の家にはご先祖様が書き残した力にまつわる書が厳重に保管されているのだが、そこに書かれていたのは『他国から移住してきたその黒髪の女性には特別な力があり、その力で様々な者を救ってきたがいつしか力を欲しがる者らに目にとまり、大きな戦争が引き起こされるようになると、誰の目にも触れられない山里へと姿を消した』と言う内容で、その後には『その里で出会った者と恋に落ち子を授かる事が出来たのだが、その子もまた黒色の髪をし、同じ能力を持つ』とある。

そして、この書を記した者とはまた違う者が『黒色の髪と特別な能力を得て生まれる子の周期は何百年に一度と判明し、注意が必要』と別の書に記していた。

最初の書で出てきた内容のように、黒髪のご先祖様は元は違う国から移住してきた者。

つまりその国はご先祖様をひも解く場でもある。

同じような黒髪の者が存在し、どのように生活をしているのか興味はあったけれど………国王様が言ったように見つからなかったのであればどうしようもない。

すでに滅んでいるかもしれないし……それで移住してきたのかもしれない。

どのような理由であれ、このことを知れたのは結構嬉しい事だ。