暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



―――――コンコンコン。

しばらくすると外からドアをノックする音が聞こえてきた。

「陛下。談笑中失礼致しますが、そろそろお時間でございます」

「もうそのような時間か」

「そろそろ会場までお願い致します」

声の感じからして……宰相様。

いよいよ王族主催の晩餐会が始まるようだ。

部屋から出ようとする陛下の後を追うようにして動いたのは良いが、突然陛下から思わぬ事を聞かれてしまった。

「……気になってはいたのだが、その服装は一体何なのだ」

「………これはですね…」

ここへ来る前に廊下にいた侍女が私を別室へ連れていき、ある方から私に渡すように頼まれたというその物とは………何とドレスで、その他にも靴やバッグ、そして髪飾りなど一式をその侍女から受け取った。

しかもそのドレスが少しセクシーで……暑い国だからこそデザインされたドレスなのだけど。

肌の出る箇所が多い気がして恥ずかしい。

上は胸元が見えそうなほど開いたデザインでウエストはリボンとコルセットでしっかり締めている。

下は片足の素肌が見えるような型で、所々肌を見せている感じだ。

ドレス色はオールドローズで、少し紫や灰色と混ざったような落ち着いた優しいピンクと言ったような色。

ピンクは少し可愛らしすぎるといった印象ではあったが、このピンクであれば抵抗なく着れる。


「…しかし一体誰がこのような物を送ったのだ」

それが驚く方なのですよ。

陛下は驚かないと思いますけれど…。

「アルヴァン様でございます」

「アルヴァン?…………あの王子か」