目の前にはサンドイッチのような見た目の食べ物が豪華なお皿に盛り付けられており、元から空いていたお腹が更に騒ぎ立てる。
「……………………………………せ、せっかくなので頂きます」
陛下が私の為に用意して下さった物なので一口だけでも食べようと思ったのだが……、
「……………………………美味しい!」
外のパンはサンドイッチに使われているのと同じ物だけれど中に入っている物がこれはまた斬新で、ハムやチーズなどではなくてフルーツと生クリームを入れている。
パンとフルーツの甘みが喧嘩するのかと思いきや、それが何と凄く合い、まるでデザートのよう。
一口だけと思っていたが、気づけばお皿に盛り付けられていた全てを平らげてしまっていた。
………私としたことが陛下を目の前についやってしまった。
「へ……陛下失礼致しました」
貴族や皇族の女性は人前でこのようにがっついて食べたりはせず、少しずつ口に運び他の方と会話を楽しみながら優雅に食事をするものなのだが、今私がしてしまった行動は優雅というにはほど遠く庶民時代であれば良かったが、見え方によってははしたない。
いつもならこういった事はしないのだが、何しろ空腹時の食事だったものでついこのような行動をしてしまった。
もしかしたら陛下に呆れられてしまったのでは…と様子を伺っていると、
「口に合ったようだな」
「………はい?」
「先ほどの事なら気にするでない。そなたがそうなるぐらい美味しかったのだろう。他国の料理がそなたの口に合うかどうか不安ではあったが、完食したところを見ると問題ないようだな」
淑女とは到底思えない行動だったのに…陛下は嫌な顔を見せるどころか、全然気にしていない様子であった。
陛下は本当………お優しい。
そういえば………、
「この料理に使われていますフルーツは一体何という名前なんでしょうか?みずみずしくも食べ応えがあり、このフルーツ自体とてもよい自然な甘みを感じますが…」
アンディード帝国の市場やその他のお店でもたくさんの種類のフルーツが販売されているが、これは今までに出会ったことのないフルーツだ。
仮にこのフルーツを何かで例えるのなら………柑橘系の爽やかな匂いを持つメロンと言ったところでしょうか。
何とも不思議な感覚だ。
しかしメロンのような甘さとは違い、また別の甘さで………とにかく不思議の他ない。
「この料理はガルゴ王国の軽食で親しまれておりますサンドジョセフでございます」
私の疑問を聞きつけた侍女が中へ入り、この料理の説明をする。



