暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



「私の処分は…………………どのような判決であれ覚悟しております。ですが、最後までお側で護衛する事をどうかお許し下さい」


……………クレハはそう言うけれどきっと大丈夫。

そんな事にはならないわ。


「……陛下は中に?」

「はい。只今、中で宰相様と会談中でございます」

私の質問に答えたのはクレハの隣に並び立つギャビン。

一応確認してみたが陛下はやはりこの中にいるようだ。

ファン宰相様とおられるみたいだが……………ここまで来たのだから顔を出そう。


_____コンコンコンッ。

ドアをノックする軽い音がその場に響き、

「誰ですか?」

中からファン宰相様の声が返ってきた。

「会談中失礼致します。アニーナでございます。中へ入っても宜しいでしょうか?」

「えぇ。どうぞお入りください」

「失礼致します」

許可がおり中へ入るとそこには、向かい合わせのソファーに腰を下ろす陛下と宰相様がいた。

陛下は資料を片手に持っていた資料を机の上に置くとこちらに視線を向ける。

「休めたのか?」

「はい。十分に休ませて頂きました」

お陰様で頭がスッキリしている。

「起きると、体に身に覚えのない毛布がかけられてありましたが陛下でしょうか?」

「あぁ、そうだ。昼食を誘いに行ったのだが気持ちよさそうに寝ていたもので、声をかけるのを控えたのだ。あれから随分と時間が経つが、何か軽い物でも用意させよう」

確かに王宮に来てから何も口にしておらずお腹が空いているが、反対に今何かを口にしたら晩餐会で何も口にできなくなるかもしれない……………ので、


「お気遣いありがとうございます。……ですが、私は飲み物だけで大丈夫でございます」

丁寧に断ったのだが、

「あれから何も口にしていないではないか。飲み物だけでは倒れてしまう」

「しかし…………陛下」

私が次に何かを言う前に陛下は直ぐさま侍女を部屋に呼び寄せ、紅茶と軽食が部屋に運ばれてきた。


「私は少々、外の状況を伺ってまいります」

「あぁ、頼む」

ファン宰相様は気をきかせてくれたのか部屋から出ていき、その場には私と陛下だけになった。