「取りあえず陛下の元へ向かおうかしら」
外にいる誰かに声を掛ければ教えてくれると思い、廊下で掃除をしていた侍女に後ろから声をかけると、
「一体このような場所で誰ですか…………………っ!!!あ、アンディード帝国の王妃様……っ!!??」
いきなり声をかけてしまったからか、かなり驚かせてしまったようだ。
これからはいきなり呼びかけるのをやめておこう…………。
それよりも。
この侍女は何か勘違いしているようだ。
「驚かせておいて申し訳ないけれど、私は王妃ではないわ。確かに私は陛下の妃ではあるけれど、王妃と呼んでいいのは正室の妃だけなのよ?」
何も知らないであろうその侍女にそう説明してみせたが、それでも理解出来ていなかったのだろう。その侍女は首を横に傾げた。
アンディード帝国では妃が現在私一人しかいないが、正室ではない。
…………………いや。陛下からその辺は何も聞かされていないので勝手に側室だと解釈したが、正室であればちゃんとした儀式があるはずなので、つまり……そうなのだろう。



