暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


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「……あれ?ここは…………どこ」

目を覚まし、まず飛び込んできたのはいつもと違う色の天井。

壁も家具もそれら全てが以前小説で読んだ物語に出てきそうなアジアン調で、心なしか涼し気な気持ちにさせる。

「そういえば…………私…」

次第にここがどこなのかを思い出し、辺りを見渡す。

しかし時計らしきものは見当たらなかった。
 
ガルゴ王国に戻ると陛下が私に休みを下さったので何となくベッドの上に横になったら、そのまま寝てしまったのだっけ………。


誰も起こしに来なかったので随分とぐっすり寝てしまったようだが、お陰様で気分がさっぱりした。

____パサ……。

「あれ…………これは」

取りあえずベッドの上から下りようと体を動かしたとき、何かが下に落ちたと思えば、椅子にかけられていたはずの毛布であった。

私は毛布をかけずに寝てしまったし、この毛布が初め椅子にかけられていたと言うことは…………………恐らく誰かが部屋の中に入り毛布をかけてくれたのだろう。

ここに足を運べる人物は限られるので、恐らく陛下で間違いない。

侍女かもしれないと思ったが、まず返事もないのに勝手に中へは入らないだろうし。

だけどここに来た人物が陛下として………………なぜ私を起こさなかったのだろう?

何か用事があってここへ来たに違いないが………………。