暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】















強気な様子のフィグリネ様を前に私はある物を突きつけ、

「これが一つ目の証拠でございます」

そう言い切った。

対するフィグリネ様は可笑しなものを見るかのような目で私を見て、

「それが何だと言うのかしら?」

馬鹿にするようにそう言って笑った。

私が手に持ち前に掲げている物とは、あの日フィグリネ様が着ていたドレスで、確かにこれだけ見せられたら『何が証拠なんだ』と言いたくなるが、

これはちゃんとした証拠となる……………大事な物だ。

「もちろんフィグリネ様ならご存知だと思われますが、あの日フィグリネ様が飲まれたあの飲み物の中には、普通であれば一緒に入れないであろう物が入れられておりました」

「毒…………でしょう?それぐらい飲んだ私(わたくし)なら分かることよ」

毒…………………確かにそうだけど、

「ポポクテリアンはご存知でないですか?」

「………………ポポクテリアン?それは一体何かしら」

フィグリネ様は一瞬意味のある反応を見せたのだがそれは本当に一瞬の事で、直ぐに何を言っているのか分からないと言ったような表現を見せた。

演技の上手な方だ…………………。

「本当に……ご存知でないのですか?これは一般常識ですのに、王族である貴方様はご存知でないとはある意味問題でございます」

「貴女……………誰に口を聞いていると思ってるのかしら?」

「もちろん目の前にいらっしゃるフィグリネ様でございます」

そう言ってジッと見つめると、フィグリネ様も演技なしに真顔で私を見つめ返した。