暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



「私(わたくし)がここへ来た事に対して、驚かないのね?」

「いずれ、こちらに来られると思いましたので」

「あら、では予定通りって事かしら?笑」

返ってきた言葉に思わず笑ってしまう。

私(わたくし)がここに来ると分かっていて、まだ居ただなんて………。賢い子だと思っていたけれど、案外馬鹿な子なのかしら?

「……………フィグリネ様。もう……終わりに致しませんか?」

「貴女は一体何を言ってるのかしら?」

「もう全て分かっているのです。フィグリネ様が私を陥れ、スフィア様へ害が及ぶように仕向けた事も、あの……毒の事も」

…………全て知っているですって?

何を根拠にそのような事を。

証拠となる物は全て処理したので、そのようなものが今更出てくる何てことは正直考えにくい。

となれば、これが引っ掛けである可能性も十分あるわね。

ここで焦ってしまえば相手の思うツボ。

いつも通り堂々としていれば、何も問題なんてないわ。


「そこまで言うのであればその証拠を見せてもらおうかしら」

これでもし証拠がなければ、アニが嘘をつき私(わたくし)を犯人に仕立てあげようとしたなどと立ち回れて非常に便利になるが、

反対にもし証拠があった場合は……………………かなり厄介。

しかし、それはまずない事なので取りあえず今はアニの反応を見てあげましょう。


私はそう心の中で思いながら、分かりきったアニの返事を待った。