暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】











長い廊下を行った先に目指すその部署はあるのだが、


いつも何かしら人の話し声が聞こえてくるその廊下は、どうした事か静まり返っていた。

アニがこの先にいるのであれば、軽く騒ぎになっていても可笑しくはないのに。

「怪しいほど静かですわね……」 

「確かに……言われてみればそうでございますね。普段であれば人の話し声が廊下まで聞こえてきますのに…」

もしや…ここには既にあの者は居ないのかしら?

そんな事を疑問に思い浮かべながら歩き進めている内に、目的の外交輸入管理部へと到着した。

「…………ここもやけに静かね」

目の前にある木のドアを見つめるが、中からは物音1つしてこない。



「入ってみましょう」


_____ギィ……。

確認の為そのドアを開いてみる。


誰も居ないというのは普通なら可笑しいことで、


普段なら外交輸入管理部の者が最低一人は中にいるものだ。



ドアを全て開ききり、侍女を引き連れ中へ入ったとき私(わたくし)が目にしたものは、

先程から探していたあの者であった。










「……………ここにいたのね」

私(わたくし)がそう声をかけると、その者は少し強張った表情で私を見つめ、そして静かに口を開いた。


「………………お久しぶりでございます。



                  フィグリネ様」