長い廊下を行った先に目指すその部署はあるのだが、
いつも何かしら人の話し声が聞こえてくるその廊下は、どうした事か静まり返っていた。
アニがこの先にいるのであれば、軽く騒ぎになっていても可笑しくはないのに。
「怪しいほど静かですわね……」
「確かに……言われてみればそうでございますね。普段であれば人の話し声が廊下まで聞こえてきますのに…」
もしや…ここには既にあの者は居ないのかしら?
そんな事を疑問に思い浮かべながら歩き進めている内に、目的の外交輸入管理部へと到着した。
「…………ここもやけに静かね」
目の前にある木のドアを見つめるが、中からは物音1つしてこない。
「入ってみましょう」
_____ギィ……。
確認の為そのドアを開いてみる。
誰も居ないというのは普通なら可笑しいことで、
普段なら外交輸入管理部の者が最低一人は中にいるものだ。
ドアを全て開ききり、侍女を引き連れ中へ入ったとき私(わたくし)が目にしたものは、
先程から探していたあの者であった。
「……………ここにいたのね」
私(わたくし)がそう声をかけると、その者は少し強張った表情で私を見つめ、そして静かに口を開いた。
「………………お久しぶりでございます。
フィグリネ様」



