暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】





辺りがやけに騒がしくなりだした頃。

自室での休養を医者から勧められた私(わたくし)…フィグリネは、侍女が持ってきてくれた本を寝床で読んでいた。

「…………何かあったのかしら」

「見てまいりましょうか?」

私(わたくし)の呟きに控えていた侍女がそう口を開いたが、

「いえ………良いわ」

今はあえて動くのを止めにした。

何故なら現在、アルヴァン様はアンディードの王と会談中。

変に関わって騒ぎを起こしたなどと巻き添えをくらいたくはない。

しかし、

「この足音………こちらに近づいてはいないかしら?」

次第にその騒がしさがこちらへ近づいてきているのだと途中で気がついた。

「一体……誰なのかしら」

アルヴァン様はまずない。

スフィアもアニも現在捕らえられており、逃げ出すのはまず不可能。

ならば…………一体誰がきているの?

療養している私(わたくし)にお茶をしようなどと話を持ちかける阿呆はいないでしょうし。

必死に予想を立ててみたがこれといった人物は浮かばず、1つだけある不安感が頭をよぎった。

まさか……………………真実がバレた?

しかし、それはあり得ない事だ。

スフィアもアニも牢獄に入れられていて、まず動けないはずだし、

他に動くような人物も思い当たらない。

証拠だって全て消した。それに私の自作自演だと気がつく者などいるはずもないわ。


ならば……今来ている者は一体……。



_____トントントン。

「……………っ」

結局何が目的でここへ来たのだろうと必死に考えている内に、

戸を叩く音が部屋に響いた。

影を見るからに…………男。

「………ここを私(わたくし)の寝所だと知っての訪問かしら?」

仮に兵士だとしても構わない。

王子の妻である女の寝所へ許可なしに来るなど大変無礼な事なうえ、王子様に訴えれば兵士だろうが簡単に捕まえる事ができる。

しかしその返事は返ってくることなく、少し間があいた後すぐさま戸が開いた。

承諾もなくいきなり戸が開いたもので思わず身体がビクリ……と跳ねる。

『無礼者!!!!』

そう叫ぼうと思ったが、部屋に入ってきたその人物は想像すらしていなかった方であった。