「へ〜、この国では禁止なんやな!前いたイーズン国では普通に行われてたから、言われな分かんないわ!まぁ、人身売買なんて初めからせえへんけどな(笑)」


そう言って可笑しそうにハハッ…と笑う。


店員さんと話をするだけでも結構な情報が得れるので、入国したらお店は外せない。



「そういや、この国の陛下は厳しいんか?」


先程の話にて軽く名前が出された陛下について、バレない程度に探りを入れてみるが、疑いもしないその店員さんは気を良くして普通に国内の事を話し始めた。


「大きな声では言えませんが……………とっても恐ろしい方だとお聞きしました。王位につき一年もしない内に何ヵ国もを掌握し、中央政府への粛清と反乱の制圧………。結果的には民も暮らしやすいようにはなっているのですが、

陛下をひと目見た者は必ずこう言います。冷めた瞳をした血の匂いのする恐ろしい陛下だと……」



話的にこの店員さんは生で陛下を見た事はなさそうだが、来店する客人にてそう言った情報を耳にするのだろう。


「…………へぇ。それはまた暴君やねぇ〜?」


「そうですよね!……………あ、でもそれが今じゃそこまで暴君でもないそうですよ」


「ほぉ。それはまた何でや?」


「どうやらお妃様をつくられたからだそうです。かなり寵愛されているご様子で新しい妃など必要ないと申されてるそうです」


巷ではその寵愛する妃が出来てから、だいぶ暴君振りが減ったと噂されていた。