「ちょい、そこの姉ちゃん〜!」
「はーい!以下がなさいましたか?」
「俺ら旅しててな、この国の事よく知らへんの!何か最近の面白い話とかある〜?」
先程の真顔とは一変、満面の笑みで話しかけるその男。
そんな気軽に話しかけてきた旅人の男に、呼ばれた店員も嫌な気持ちにはならなかった。
「そうなんですね!では、前はイーズン国へ?」
「そうそう!ほんま入国許可取るの大変やったわ……審査長いし。前はそんなに大変やなかった気するけど、何かあったんか?」
男が発したその問に店員さんは少し苦笑いをした。
「ん〜………ここへ来たばかりの旅人さんにこんな事言うのはちょっとあれかもしれませんが……………この町は以前人身売買が裏で行われたりしていたのです」
「人身売買?」
「はい。この国では禁止しているのですか、法を無視して行う輩も稀にいたのです………。そうゆう事もありこの国の陛下が入国を更に厳しくしたと聞いております」
この国に入るにはまず身分を証明できるものと、何故この国に入りたいかの明確な理由。そして以前滞在していた国の名前提示が必要となる。
判定が出るのはその1週間後で、入国しても問題ない者のみが中へ入れる仕組みになっているようだ。
この男達もこの国へ入るのにだいぶ苦労をした。



