暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



「スフィアには何て言ったのかしら?」

「上からの指示で移動になったのだと伝えました」

「あら……あの子折れてくれたの?」

「いえ……もちろん急な事でしたので心の整理がいかず気分を悪くされたご様子でしたが、何とか無事に引き継ぐ事が出来ました」

……と言ってもレイジュさんが来ていなかったら引継ぎ出来ていなかったかもしれないけれど…。

しかし、ナイスタイミングだったと思う。

「まだまだ子供なのね…(笑)」

私の言葉にそう言ってふふふ…っと笑う。

話が面白かったから笑っているのだと思ったが、どちらかと言うと人を下に見るようなそんな笑い方だった。

「不躾な質問を致しますが……フィグリネ様はスフィア様の事を嫌っていらっしゃりますか?」

あらかた自分の中で答えは出ているものの、私は何を思ったのかそんな事をフィグリネ様本人に聞いていた。

その言葉にフィグリネ様から笑顔が消える。

「……侍女の分際で失礼な。しかし、答えてやらなくもない。そうね……好きか嫌いかと言えば、嫌いよ」

『嫌い』そう言ったフィグリネ様はとても険しい表情をされていた。

「なぜ……ですか?」


「なぜ?面白い事を聞くのですね(笑)簡単な話、あの子がアルヴァン様の側妻だからよ」

え、どういう事?