あの時レイジュさんから手渡された服(モノ)を身に付け前日に軽くまとめていた荷物を手に持つと、廊下で待つレイジュさんと合流した。
レイジュさんもそうだけどこの服……他の侍女が着ている服よりかは上質な生地で出来ており、明らかに他の者よりか目立つデザインに仕上げられている。
可愛いのだが侍女には少し良すぎる感じがするが……せっかく貰った物なので色々言うのはやめておこう。
「では後をついてきなさい」
「はい」
レイジュさんを見失わないように私は後ろをついて行き、フィグリネ様の住むハレムへと向かう。
長い廊下を歩くにつれ変わっていく内装。
次第に華美なものへと変わっていく。
「さぁ、ここが貴女の部屋よ」
たくさん戸のある廊下を歩いていると、一つの戸の前でレイジュさんは足を止めそう言った。
「ここ……ですか?」
「えぇ。中へ入って見なさい」
レイジュさんからそう促され戸を開くと中には既に家具などが設置され、前いた部屋よりかは遥かに広く、まるで貴族のようなお部屋がそこにはあった。
「このような部屋……私が使っても宜しいのですか!?」
思わずレイジュさんに対しそんな質問をする。
しかし驚いている私とは対してレイジュさんは『何をそんなに驚いているのだろう』とでも言うような表情をしていた。
「私も同様他の者も同じような部屋を頂いておりますので、そう驚く事ではありません。気にせず使うと良いでしょう」
その言葉にフィグリネ様に仕える侍女は皆こういった待遇を受けているのかと心底驚き、後の言葉が中々出てこなかった。



