「スフィア様…どうか私が居なくなった後でもよろしいのでこの者たちに顔を出してあげてください。そうでないとこの者等が戸惑ってしまいますので」
侍女の分際で側妻様に対しこのように発言するのは失礼かもしれないが、そこだけはしっかりしておかないとこの者等が後で可哀想だ。
「………それでは私はこれにて」
きっとスフィア様は分かっているだろう。
そう思い向こうでの引継ぎもかねてそろそろこの場から上がろうとしたが、
「え!!!行ってしまわれるのですか!!?」
「私達どうすればよいのですか!!?」
「置いてかないでください~!!」
「…………」
去ろうとした私を三人は必死に食い止める。
私もこの人達をここに残してしまって不安だけども、行かないとこちらも向こうでの引継ぎが出来なくなってしまう。
「後は力を合わせて頑張ってください」
「え~!!」
「投げやりですか!?」
不服そうな顔で散々言われたが今回はゆっくりと指導するだけの時間はない。
あったのなら完璧に引継ぎを済ませられるのに……。
急いで退散しようとした時。
近くから何やら聞き覚えのある鋭い声が飛んできた。
「下位の侍女が何をしているのですか」
「貴女は………」



