それなら私は止める真似をせず、今回はただその様子を見つめるだけにしよう。

こればかりは部外者が口を出す問題ではないか。


「ではスフィア様。私で出来る事があればご協力致します。マナーであれ、勉強であれ、その他で知りたい事があれば分かる範囲で教え致します」

アンディード帝国の妃になってマナーのレッスンや社交ダンス、そして国に関する政治的勉強と妃としての立ち振る舞いなど………たくさん受けさせられた。

皆、メイドだった頃の延長戦のようなものだったけれど、それらを覚えるのにだいぶ苦労した。

まだまだ勉強しきれていない分もあるが、私で出来る範囲なら教える事が出来る。

「本当!?」

「えぇ」

「ありがとう!!」

その言葉が嬉しかったのか、スフィア様は笑顔で私にお礼を言ってきた。

始めは笑顔の少なかったスフィア様だったが、良く笑顔を見せてくれるようになったと最近本当に思う。

性格もすっかり明るくなり、他の側妻様がみたらきっと驚くだろう。

そう思うとそのお茶会も楽しみに思える。

「さて、スフィア様。お茶会も控えておりますので、今回はマナーのレッスンに致しましょう」

優雅にお茶を飲むのも淑女として必要な事。

美しく品のある女性はその飲み方だけで、周りの人から一目置かれる存在となる……と以前私は習ったことがある。

つまり今回のお茶会で是非とも使ってほしい飲み方だ。