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一方、服に高級そうな宝石を身に着けたその女性は他の側妻を自室に招き、お茶会を開いていた。

「そういえば、聞きました?あの話……」

「えぇ…。身の程知らずの者がいらっしゃるものね」

そこにいる皆が、その話に対し表情を歪める。

そしてその場にいた側妻の一人がゆっくりと口を開く。

「…しかし、あれもまたあの者の嘘ではなくて?以前も周りに嘘をつき、この宮に動揺をまき散らしたではありませんか」

「いえ、今回は事実らしいわよ。聞いた話ではアルヴァン様を誘惑して、自分のハレムへ誘ったのだとか」

「あら?私(わたくし)は脅して無理やり来させたのだと聞きましたわ」

「私(わたくし)は媚びをうったのだと…」

それぞれ自分の聞いた、話と言う名の“噂”をその場で語った。

「しかし、話がどうであれ結果的に皆同じような事。あの者に身の程をわきまえさせる必要がありますわ」

このお茶会に参加しているのは主催者を含め8人の側妻達で、王子様の側妻は12人いるからにして、ほぼ大半がここへ集まっている事になる。

つまり、この大半が一人の側妻相手に何かしようとするのであれば、もはや他の者は手出しできない。

「聞いてくださいませ。毎日嫌がらせを行っていますのに、あの者は一向に懲りる気配がないのです。逆に平気な表情をしております。以前なら少し嫌がらせを行っただけで大人しくなっていましたのに…!」

「それはそれは…。以前の事で慣れてしまったのかしら?」

「では、もっと酷くしてみてはいかがですか?」

「もし酷くしてそれがアルヴァン様にバレでもしたらどうするおつもり!?私(わたくし)はこれ以上するのは無理でしてよ」

「では、次はどなたが?」

皆、次に嫌がらせをする実行人をキョロキョロと探す。

流石に嫌がらせの実行人は誰もしたくないのだろう。

見渡すだけで誰も名乗ろうとはしなかった。

そして、何とも言えないような空気がそこに流れる。

「……あの侍女が原因なのかしら?」

一人が口を静かに口を開く。